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コウノトリ司法書士事務所-神戸市 相続・不動産登記・家族信託

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手遅れの遺言書作成 2019/7/24

先日、施設に入所されている高齢女性についてのご相談を受けました。
女性には配偶者も子もなく、推定相続人は兄弟姉妹と甥姪で10名以上になります。また、財産は神戸市内の一等地の不動産があります。
女性は、この不動産を、いつも気に掛けお世話してくれる相談者たる甥に譲り渡したいという希望を、以前からお持ちだったそうです。
相談を受け、そのご希望を実現するには、遺言書が必要な旨申し上げ、公正証書による遺言作成の段取りをいたしました。
また、ご高齢で施設入所されておられますので、認知症の判断材料として、医師の診断書もお願いいたしました。
相談者の話では、ある程度の認知症の症状はあるようでしたが、必ずしも認知症の方の遺言書作成が不可能という訳ではありませんので、作成可能の希望を持ってご本人と面談をすることにしました。
実は、面談の前に公証人の先生に、どの程度の状態であれば遺言書作成を引き受けていただけるかを確認していたのですが、先生の話では、認知症の判断材料となる長谷川式スケール(簡易なテスト)で30点満点中20点以上であること、遺言書の意味が理解できることが最低限必要とのことでした。
面談の結果、長谷川式スケールで10点にも届かず、残念ながら遺言作成は断念することになりました。
相談者の方は、1年前であれば問題なく遺言書作成可能であったのにと悔やんでおられました。
1年の間に、かなり認知症の症状が進んだようですね。
このように、認知症の症状はあっという間に進んでしまうこともあります。
認知症のことはさておき、財産の承継についてご自分の考えがあるのでしたら、遺言書の作成や、家族信託することを
早めに実行に移すことは本当に大事であると今回のご相談で実感いたしました。