
亡くなられた方が日本人で、台湾人の方が相続人となるご依頼をいただきました。
ご依頼を受けたのは、祖母の名義の建物について、お孫さんへの相続による名義書き換えでした。
祖母は日本人でしたが、戦後間もなく娘さん(依頼者の母)が台湾の男性と結婚し、台湾籍に入られていましたので、依頼者の方も台湾籍でした。
娘さんは台湾の方と結婚後、台湾に渡航することなく、昭和20年代後半に亡くなられています。
また、依頼者は日本で生まれ、母の死後、台湾の親族に引き取られるかたちで台湾に渡航されました。
亡くなられた祖母が日本人ですから日本の民法が適用され、どの国の相続法が適用されるかは全く問題はないのですが、問題は相続関係の書類をどのように集めるかです。
台湾は戸籍制度がありますが、戸籍の内容自体が日本のように正確ではなく、台湾籍に入ったはずの娘さんの記載が全くありませんでした。
また、娘さんの配偶者たる台湾の男性(依頼者の父)も、船舶事故で亡くなっているのですが、死亡の記載がありません。
ですから、依頼者の母も父も死亡を証する戸籍がありませんでした。
そこで、戸籍以外で死亡を確認できるものはないかと思い、依頼者の母の死亡届記載事項証明書を請求すると、60年前の死亡が確認できる証明書が出てきました。
また、法務省に外国人登録原票の開示請求もしましたが、こちらは死亡の記載も、依頼者との親子関係も記載なく、あてが外れた結果となりました。
台湾関係の書類は勿論、日本で取得できそうなものは全て請求し、書類は膨大になりました。
半年かかって何か手掛かりになるものを全て集め、これ以上は無理ですといった内容の上申書を付けて、相続登記の申請をしてみましたが、
何とかなるものですね。無事登記が完了いたしました。
このように、困難と思われる場合でも、あらゆる手を尽くせば不可能なことはありません。
今回のご依頼は、今迄相談した専門家ではお手上げ状態で、依頼者の方が半ば諦めていた相続登記でしたが、無事完了したことでとても喜んでいただきました。